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夏休み

朝のニュース番組が野球中継に代わり、世間は盆休みに入っていることを知った。「もうそんな時期か…」と無職は呟いた。

昨日4ヶ月ぶりに美容院に行った。長いこと放置した頭は、プリンを通り越して二色になり、白髪の天然メッシュが入った独創的な仕上がりで悪くなかったのだが、今日は親友のマクラに会う。そのため先手を打ったのだ。人間はこうして学習する。

今回はいつも行ってる美容院ではなく、家の近くでヘッドスパ無料キャンペーンをやっている美容院に釣られて行ってみた。初めて行く店内はこじんまりとして清潔で、席数も減らされ、感染予防対策を取っているようで安心した。担当してくれたのは20代前半と思しき可愛らしい女性の美容師だった。

私は美容院で雑談するのが苦手だ。周りが楽しそうにお喋りしているのは好きだが、いざ自分に話が振られるとどうも顔が引きつってしまう。なのでカットとカラーの大体のイメージを伝えたら、すぐに雑誌を開く。

イメージ画像:羨ましくなんかないんだモォ〜

雑誌に目を通していたら、ある記事に釘付けになった。「ファクトフルネス」という人気書籍を訳した翻訳家、関美和さんのインタビューだ。彼女の歩んできた道のりが凄いので、要約させていただく。

大学卒業後、大手広告代理店に勤務。更に高みを目指したいと外資系金融会社に転職。MBA取得のためハーバードビジネススクールに通い、ウォール街でキャリアを積む。30代前半で東京に戻り、結婚し子供を二人出産。40過ぎて旦那が浮気、考えた末離婚。運命の書籍と巡り会い、翻訳家の道を志す。「ファクトフルネス」を大ヒットさせ、現在は翻訳業務の傍ら、大学准教授としてフルタイムで働き、子供を育てている。

これを読んで思わず「はぁ〜」と感嘆してしまった。美容師さんが笑って「面白い記事ありました?」と聞くので仕入れたばかりのネタをシェアして、二人で盛り上がった。

どのステップ一つを取っても並大抵の努力では手に入らないようなものばかりだ。同じだけの時間を生きて、やり遂げた成果の量、質ともにこんなに違うものかとしみじみ考えてしまった。私が世に残せたものと言えば、数々の折り紙作品だけだ。

「お客さん、世の中こんなにできる人の方が少ないですよ!」と笑顔で美容師さんが励ましてくれた。「本日は髪をツヤッツヤにさせていただきました!」と後ろに鏡を持って見せてくれる。やっぱり若い子は素晴らしい。

こうして未来あるキラキラした美容師と、先を進むキラキラした翻訳家に挟まれた中年無職は、髪だけをキラキラさせ満足気に家に帰ったのであった。

趣味のイラスト:2コマ漫画「ビフォーアフター」