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接待

昨日私のブログのファンだと公言する社長(仮名)から接待を受けた。

社長は女帝(仮名)のお店の常連さんで、何度かお会いしているのだが、会う時はだいたいどっちも酔っ払っているため互いの印象は朧げだ。そんな二人が女帝を介して、三人で高級中華を食べに行く運びとなった。

都内一等地にある社長イチ押しの老舗中華料理店は落ち着いた雰囲気で、全身GUの無職と短パンの女帝はお上りさんのようにキャッキャとはしゃいだ。大きな円卓を贅沢に三人で囲み、注文を済ませた後はもうめくるめく夢のようなひと時であった。

運ばれてくる料理の美味しいこと美味しいこと!どれも桁違いにデリシャスなのだが、何と言ってもフカヒレの姿煮だ!

まず形が美しい。コンチャ湾のような弧を描いている。そして煮込みダレは濃厚かつ程よい塩加減で絶品。その神秘のぬかるみに鎮座するのは主役のフカヒレ。まるで金で紡がれた繊維のような食感と深い味わいであった。

キリンさんが好きです。でもサメさんの方がもっと好きです。

そのフカヒレを頬張っている私の隣で、社長は微笑みながら「まぁまぁ作家先生、どうぞどうぞ!」と8年物の紹興酒を注いでくれる。接待とはかくも甘美なものか。食欲と自尊心を同時に満たされ、まるで天国にいる気分であった。マッチ売りの少女もこんな夢の中で逝ったのかと思えば、あの童話にも救いがある。

こうして幸せを腹に詰め込み、歯に挟まったフカヒレはそのままにして食事を終えた。帰り際社長が「先生、お土産は肉まんでよろしいですか?」とちゃっかりおみやまで持たせてくれる。社長恐るべし、一体何者なのか。

ちなみに社長は今年の3月に大金が入った財布を無くしたばかりである。それを知っている女帝も私も何も言わない。

これほどのご馳走にお礼のしようもないが、せめてブログを更新しておこう。

社長、ありがとうございます。次回は寿司でお願いします。

趣味の折り紙:肉まん(本物はどれだ)